円覚寺のご本尊は十一面観世音菩薩ですが、脇侍は毘沙門天と吉祥天です。
毘沙門天(びしゃもんてん)は、仏教における北方を守護する四天王の1人、多聞天の別名であり、武神や財運の神として広く信仰されています。
日本では七福神の一柱としても親しまれており、そのご利益を求める人々が数多くいます。
その毘沙門天を祈念する際に唱えられるのが「真言」です。
真言は、仏や菩薩、天部の本質を音声として表現したもので、言葉そのものに深い霊的な力が宿っているとされます。
密教では、真言を唱えることで仏と一体化し、その智慧や慈悲の力を自分の中に取り込むことができると説かれています。
この記事では、毘沙門天の真言について、具体的な唱え方やご利益、さらには信仰の背景などを初心者にもわかりやすく解説します。
毘沙門天の真言は?
毘沙門天の真言は、以下の通りです。
「オン ベイシラ マンダヤ ソワカ」または「オン バイシラ マンダヤ ソワカ」
この真言を唱えることで、毘沙門天の加護を受け、財運や健康、厄除けのご利益を得られるとされています。
以下に、この真言に込められた意味を簡単に説明します。
「オン」:「帰依します」、「供養します」という意味。
「ベイシラマンダヤ(ヴァイシュラヴァナ)」:毘沙門天の梵名(サンスクリット名)であり、「財宝を守る者」を意味します。
「ソワカ」:「成就しますように」という願いを込めた結びの言葉。
毘沙門天真言を唱えると得られるご利益
毘沙門天の真言を唱えることで得られるとされるご利益は多岐にわたります。
毘沙門天は「財運の神」として特に知られていますが、実はそれだけではありません。
ここでは、真言を唱えることで期待できる主要なご利益を具体的にご紹介します。
財運向上
毘沙門天は、元々ヒンドゥー教の財宝を守護する神「クベーラ」の日本名であり、金運・財運を高めるご利益があると信じられています。
商売繁盛や資産の守護を願う際に、真言を唱えることで運気が上向くとされています。
特に、ビジネスの成功や収入向上を願う人々から厚く信仰されています。
健康祈願
毘沙門天は、戦いや争いに勝つ力を授ける武神でもあります。
その力強さは健康や活力を守る神聖なエネルギーとして解釈され、病気平癒や体力向上を願う際にも真言が唱えられます。
病気平癒を願う際や、大きな目標に向かうときに真言を唱えることで、気持ちを奮い立たせる支えになると信じられています。
厄除け・開運
毘沙門天は、四天王の中で北方を守護する存在であり、悪霊や災厄から人々を守る役割があります。
真言を唱えることで、自身や家族を災厄から守り、不運を遠ざけることができるとされています。
また、運気を切り開く「開運」のご利益も期待され、「開運」の祈りを込める際に信仰されています。
毘沙門天真言の書き方
毘沙門天の真言「オン ベイシラ マンダヤ ソワカ」
後日追記します!
毘沙門天とは?
Patdem, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
毘沙門天(びしゃもんてん)は、仏教における四天王の一尊で、北方を守護する武神・守護神として知られています。
戦いや争いにおいて勝利をもたらす神として信仰される一方で、財運や幸福を授ける神としても人々に親しまれています。
毘沙門天の信仰は古代インドに端を発し、日本では七福神の一柱としても有名です。
また、日本では、武士の守護神として厚く信仰されてきた歴史があります。
特に、戦国武将・上杉謙信(うえすぎけんしん)が深く信仰していたことで有名です。
1. 毘沙門天の起源と役割
毘沙門天のルーツは古代インドに遡ります。
サンスクリット語では「ヴァイシュラヴァナ(Vaiśravaṇa)」と呼ばれ、ヒンドゥー教の財宝神クベーラ(Kubera)と同一視される神です。
仏教に取り入れられた後、四天王(東方の持国天、南方の増長天、西方の広目天、北方の多聞天(毘沙門天))の一尊として位置づけられ、北方を守護する護法神となりました。
四天王は釈迦を守護する役割を持ち、毘沙門天はその中で最も力強い神として位置づけられています。
毘沙門天は鎧を身にまとい、片手に宝塔(または鉾)、もう一方の手に宝棒を持つ姿で描かれます。この姿は、仏法を守り、敵を退け、富をもたらす力を象徴しています。
- 北方の守護神:毘沙門天は四天王の中で北方を守ります。これは、仏教の宇宙観において北が特別な方向とされることと関係があります。
- 悪霊退散の神:邪気を払い、悪霊や災厄を追い払う力を持つとされています。
日本における毘沙門天信仰
日本では、毘沙門天は武士の守護神として厚く信仰されました。
特に、戦国時代には多くの武将が毘沙門天に戦勝祈願を行い、上杉謙信は軍旗に「毘」の文字を刻んでいます。
また、毘沙門天は財運や福徳をもたらす神としても知られ、七福神の一柱として庶民の間でも広く信仰されています。
現在でも、日本全国の寺院で毘沙門天を祀る場所が多く、商売繁盛や開運を願う人々が訪れます。
- 七福神の一柱:七福神は日本の神仏や道教の神々が融合した信仰体系で、毘沙門天はその中で特に「武運」「財運」を司る神とされています。
- 戦国武将の守護神:武運を祈願する存在として、多くの武将が毘沙門天を崇拝しました。
上杉謙信が毘沙門天を特に信仰し、「毘」の旗を掲げて戦った逸話は有名です。
毘沙門天の象徴と特徴
Sakuragikaku, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
毘沙門天は力強く威厳ある姿で描かれることが多く、以下のような特徴があります。
- 武装した姿:鎧をまとい、右手に宝棒(財宝を象徴する棒)を持ち、左手に宝塔(仏教の教えを守る象徴)を掲げています。
これは、毘沙門天が財運と教えの守護者であることを示しています。 - 足元の邪鬼:毘沙門天の足元には邪鬼が踏みつけられており、これが悪霊退散の力を象徴しています。
まとめ
毘沙門天の真言「オン ベイシラ マンダヤ ソワカ」は、財運や厄除け、健康祈願など幅広いご利益を願うための祈りの言葉として、古くから多くの人々に唱えられてきました。
仏教における強大な守護神としての毘沙門天への信仰は、現代においてもなお、人々の生活に深く根付いています。
この記事では、真言の意味やご利益について詳しく解説しました。