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聖観音菩薩の御真言

聖観音菩薩の御真言として、よく唱えられるのは次の御真言です。

オン アロリキャ ソワカ

経本や資料によっては、「アロリキャ」を「アロリキヤ」と書く場合もあります。カタカナでは小さい「ャ」を使うか、大きい「ヤ」を使うかの違いが出ますが、唱える音としては大きく変わりません。

また、聖観音は「正観音」と書かれることもあります。どちらも「しょうかんのん」と読みます。千手観音、十一面観音、馬頭観音などの変化観音に対して、基本となる姿の観音さまを聖観音、または正観音と呼びます。

オンアロリキャソワカの意味

「オン アロリキャ ソワカ」は、梵語ではおおよそ次のように書かれます。

oṃ ārolik svāhā

漢字で表すと、次のように書かれることがあります。

唵 阿嚕力 娑縛訶

一語ずつ翻訳してみると、次のような意味になります。

日本での読み方 梵語の綴り 漢字表記 意味
オン oṃ 帰命する言葉。真言のはじめに置かれる聖音。
アロリキャ ārolik 阿嚕力 観音菩薩に関係する真言の中心となる言葉。
ソワカ svāhā 娑縛訶 成就を表す結びの言葉。願いが成ることを表す。

以下は、各語の意味をもとにした分かりやすい意訳です。

「おお、観音さまよ、その慈悲のはたらきを成就してください。」

ただし、御真言は、意味を日本語に置き換えて理解するだけの言葉ではありません。真言は、音そのものを唱えることを大切にします。聖観音菩薩の前で合掌し、一音ずつ丁寧に唱えることが基本です。

聖観音とはどんな仏さまか

聖観音は、観音菩薩の基本となる姿です。千手観音、十一面観音、馬頭観音、如意輪観音など、観音さまにはさまざまな姿がありますが、その変化した姿と区別して、基本の姿を聖観音と呼びます。

一般的な聖観音像は、一つの顔と二本の腕を持つ姿で表されます。仏像としては、手に蓮華を持つ姿や、蓮華のつぼみを持つ姿などがよく見られます。

観音菩薩は、人々の苦しみの声を聞き、その苦しみに応じて救いの手を差し伸べる菩薩です。聖観音は、その観音菩薩のはたらきを最も素直な形で表した姿と考えると分かりやすいです。

聖観音と観音菩薩は同じなのか

聖観音と観音菩薩は、ほとんど同じ意味で使われることがあります。ただし、厳密に見ると、言い方の役割が少し違います。

「観音菩薩」は、観世音菩薩、観自在菩薩とも呼ばれる菩薩全体の名前です。一方、「聖観音」は、変化観音ではない基本の姿の観音菩薩を指す名前です。

たとえば、千手観音は千の手と千の眼を持つ姿、十一面観音は十一の顔を持つ姿、馬頭観音は忿怒の相を持つ姿で表されます。それに対して、聖観音は一面二臂、つまり一つの顔と二本の腕を持つ基本の姿で表されます。

そのため、「聖観音は観音菩薩の基本形」と説明すると、初心者にも分かりやすくなります。

聖観音と正観音の違い

聖観音は、「正観音」と書かれることもあります。読み方はどちらも「しょうかんのん」です。

「正観音」は、変化する前の正しい姿、基本の姿という意味で使われます。「聖観音」は、清らかで尊い観音さまという意味を含む表記です。

寺院や資料によって「聖観音」と書く場合もあれば、「正観音」と書く場合もあります。一般の参拝者が読む場合は、どちらも基本の観音さまを指す言葉だと考えて問題ありません。

聖観音の御真言は観音菩薩の御真言なのか

聖観音の御真言として唱えられる「オン アロリキャ ソワカ」は、観音菩薩の御真言として紹介されることもあります。

これは、聖観音が観音菩薩の基本となる姿だからです。千手観音や十一面観音のように、それぞれの尊格に伝わる御真言がある一方で、基本の観音菩薩の御真言として「オン アロリキャ ソワカ」が唱えられます。

そのため、「聖観音の御真言」と書かれていても、「観音菩薩の御真言」と書かれていても、同じ真言を指している場合があります。

聖観音と十一面観音の御真言の違い

聖観音の御真言と、十一面観音の御真言は別に伝えられています。

聖観音の御真言は、一般に次のように唱えます。

オン アロリキャ ソワカ

十一面観音の御真言では、次のような真言がよく知られています。

オン ロケイ ジンバラ キリク
オン マカ キャロニキャ ソワカ

同じ観音菩薩の仲間なので、どちらも慈悲や救済に関わる御真言です。しかし、聖観音には聖観音の御真言があり、十一面観音には十一面観音の御真言があります。

お参りで唱える場合は、目の前にお祀りされている観音さまに合わせて唱えるのが基本です。

聖観音と千手観音の違い

聖観音と千手観音も、同じ観音菩薩の仲間ですが、姿と役割の表し方が違います。

聖観音は、一つの顔と二本の腕を持つ基本の姿で表されます。千手観音は、千の手と千の眼によって、あらゆる苦しみを見逃さずに救う姿で表されます。

御真言もそれぞれ違います。聖観音の御真言は「オン アロリキャ ソワカ」、千手観音の御真言は「オン バザラ タラマ キリク」または「オン バザラ タラマ キリク ソワカ」と唱えられます。

観音さまは、人々の悩みや願いに応じてさまざまな姿を示すと考えられています。その中で、聖観音は基本の姿、千手観音は多くの手と眼による広大な救済を表す姿です。

「アロリキャ」と「アロリキヤ」はどちらが正しいのか

聖観音の御真言では、「オン アロリキャ ソワカ」と書く場合と、「オン アロリキヤ ソワカ」と書く場合があります。

これは、カタカナ表記の違いです。小さい「ャ」を使って「キャ」と書くか、大きい「ヤ」を使って「キヤ」と書くかの違いであり、まったく別の御真言という意味ではありません。

お寺で唱える場合は、そのお寺で掲示されている読み方や、経本に書かれている読み方に合わせてください。掲示や経本がない場合は、「オン アロリキャ ソワカ」と覚えておけばよいでしょう。

ソワカの意味

聖観音の御真言の最後に出てくる「ソワカ」は、真言の結びとしてよく使われる言葉です。梵語では「svāhā」(スヴァーハ)と書かれ、成就を表す言葉と説明されます。

御真言の中では、「願いが成りますように」「この功徳が成就しますように」という結びの意味を持ちます。

ただし、ソワカだけを切り離して覚えるより、御真言全体を一つの音の流れとして唱えることが大切です。

聖観音の梵字

聖観音の種子は「サ」

聖観音を一文字の梵字で表す種子として、「サ」が用いられます。種子とは、その仏さまの徳を一文字におさめた梵字です。

【種子「サ」の画像】

「オン アロリキャ ソワカ」を梵字で書くと

聖観音の御真言「オン アロリキャ ソワカ」は、梵字では次のように書きます。

【御真言全文の梵字画像】

聖観音の御真言の唱え方

聖観音の御真言を唱えるときは、まず合掌し、姿勢を整え、一呼吸おいてから唱えます。

オン アロリキャ ソワカ

早口で唱えるより、一音ずつ丁寧に唱えることが大切です。声に出しても、心の中で唱えても構いません。お寺で読経中に唱える場合は、周囲の作法に合わせてください。

回数に決まりを求める人もいますが、まずは一回でも丁寧に唱えることです。三回、七回、二十一回などの回数で唱えることもありますが、回数だけを増やして心が散ってしまうなら、本末転倒です。

聖観音の御真言を唱えるときの注意点

御真言は、願いを叶えるための呪文として乱暴に扱う言葉ではありません。聖観音の前で、自分の苦しみや願いを見つめ、観音さまの慈悲に手を合わせるための言葉です。

「正しく唱えないと失礼になるのではないか」と心配する人もいます。もちろん、いい加減に扱ってよいという意味ではありません。しかし、初心者が一音違えたからすぐに失礼になる、という考え方は不安を強くしすぎます。

大切なのは、覚えた言葉を丁寧に唱えることです。分からない場合は、お寺で伝えられている読み方を確認し、その読み方に合わせてください。

聖観音の御真言はどんな人が唱えるのか

聖観音の御真言は、聖観音を本尊としてお祀りするお寺への参拝、写経、日々の礼拝などで唱えられます。

聖観音は、観音菩薩の基本となる姿です。そのため、特定の願いだけでなく、家族のこと、仕事のこと、病気や不安、人間関係など、さまざまな悩みを抱えて手を合わせる人にとって、親しみやすい観音さまです。

ただし、御真言を唱えたから必ず願いが思い通りになる、という話ではありません。御真言を唱えることは、観音さまに向かって自分の心を整え、今できる一歩を見つめ直す時間でもあります。

聖観音の御真言まとめ

聖観音の御真言は、一般に「オン アロリキャ ソワカ」と唱えます。「アロリキャ」と「アロリキヤ」の表記がありますが、お寺で唱える場合は、そのお寺の説明に合わせるのが基本です。

意味を一言でまとめるなら、聖観音の御真言は、「観音さまの慈悲に帰依し、そのはたらきが成就することを願う言葉」です。

御真言は、意味を知ることも大切ですが、意味だけを追う言葉ではありません。真言は、音を唱えることを大切にします。聖観音の前で合掌し、一音ずつ丁寧に唱えることが、御真言の唱え方です。

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