「般若心経の本を買ってみたけど、どう読むの?」
般若心経を手にして、読み方のルールが分からずに止まっていませんか?
この記事では、読経のリズムに合わせてお経を読むために、「音を伸ばすところ」を完全図解。
般若心経全文276文字に長音ふりがなを付け、見ながら読むだけで正しく唱えられる形式にしました。
- お経の唱えるリズム
- 息継ぎの位置
- リズムの取り方
- よくある読み癖ルール
- 声の出し方
これらの初めての方が迷うポイントを、すべて解説しています。
般若心経全文の読み方(ふりがな付き)
ぶっせつまーかーはんにゃーはーらーみーたーし~んぎょう~
仏説摩訶般若波羅蜜多心経
かんじーざいぼーさーぎょうじんはんにゃーはーらーみーたー
観自在菩薩行深般若波羅蜜多
じーしょうけんごーうんかいくーどーいっさいくーやく
時照見五蘊皆空度一切苦厄
しゃーりーしーしきふーいーくうくうふーいーしきしきそくぜー
舎利子色不異空空不異色色即是
くうくうそくぜーしきじゅーそうぎょうしきやくぶーにょーぜー
空空即是色受想行識亦復如是
しゃーりーしーぜーしょうほうくうそうふーしょうふーめつふーくーふーじょう
舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄
ふーぞうふーげんぜーこーくうちゅうむーしきむーじゅーそうぎょうしきむーげんにー
不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳
びーぜっしんいーむーしきしょうこうみーそくほうむーげんかいないしー
鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至
むーいーしきかいむーむーみょうやくむーむーみょうじんないしーむーろうしーやく
無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死亦
むーろうしーじんむーくーしゅうめつどうむーちーやくむーとくいー
無老死尽無苦集滅道無智亦無得以
むーしょーとっこーぼーだいさったーえーはんにゃーはーらーみーたー
無所得故菩提薩埵依般若波羅蜜多
こーしんむーけーげーむーけーげーこーむーうーくーふーおんりーいっさいてんどう
故心無罣礙無罣礙故無有恐怖遠離一切顛倒
むーそうくーぎょうねーはんさんぜーしょーぶつえーはんにゃーはーらーみーたー
夢想究竟涅槃三世諸仏依般若波羅蜜多
こーとくあーのくたーらーさんみゃくさんぼーだいこーちーはんにゃーはーらーみーたー
故得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜多
ぜーだいじんしゅぜーだいみょうしゅぜーむーじょうーしゅぜーむーとうとうしゅ
是大神呪是大明呪是無上呪是無等等呪
のうじょーいっさいくーしんじつふーこーこーせつはんにゃーはーらーみーたー
能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多
しゅーそくせつしゅーわつぎゃーてーぎゃーてーはーらーぎゃーてーはらそーぎゃーてー
呪即説呪曰羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦
ぼーじーそわかーはんにゃーし~んぎょう~
菩提薩婆訶般若心経
般若心経全文の唱え方(音声付き)
実際の唱え方を知るには、音声やリズムを直接聞くのが一番の近道です。 文字で読むだけでは把握しにくい、お経の抑揚やテンポを掴むことができます。
こちらのYouTube動画は、般若心経の全文をコンパクトに聞けるため、唱え方の練習やお経のリズムを把握したい時に最適と思い紹介します。
般若心経ふりがな全文の説明
漢字1文字で1音のところは、「ー」で伸ばすように書いておきました。
ただ2ヶ所だけ伸ばさない部分は「ー」を付けてないです。
- 最後から2行目の「波羅僧」は「はらそー」
- 最後の行の「薩婆訶」は「そわか」
1ヶ所目は、最後から2行目の「波羅僧」のところ。
「はーらーそー」とは言わずに「はらそー」となります。
ここは「は」と「ら」を伸ばさないで「はら」と続けて読みます。
2ヶ所目は、最後の行の「薩婆訶」のところ。
「そーわーかー」とは言わずに「そわかー」となります。
ここは「そ」と「わ」を伸ばさないで「そわ」と続けて読みます。
最初と最後にある題名の「般若心経」はリズムが不定なので「し~んぎょう~」と「~」を付けておきました。
菩提薩埵「ぼーだいさったー」の「た」と、無罣礙「むーけーげー」の「け」の漢字がフォントに無いことがあります。
般若心経を実際に唱える時のコツ
ここからは、般若心経を実際に唱えるときに役立つコツをまとめました。
リズムの取り方、息継ぎ、声の出し方など、初心者がつまずきやすいポイントを解説します。
般若心経の唱えるリズムについて
基本的に漢字1文字が読みの平仮名2つ分のリズムで唱えます。
般若心経の唱え方は、一般的には音程の上下が少なく、漢字1文字を1拍のリズムで淡々と唱えます。
棒読みとか一本調子とか言われる読み方です。
こうすると、木魚や太鼓などでリズムをとったときにお唱えしやすいのです。
般若心経の出だしを例にすると、
「仏」は「ぶっ」
跳ねる音なので、説明としてはわかりずらかったですね。
次に行きます。
次のは分かりやすいですよ。
「説」は手拍子1拍で「せつ」
手拍子1拍分という短い時間なので「せ」「つ」と分けて言わないで、一気に「セツ」です。
次が音1つです。
「摩」は「まー」
手拍子1拍で「マッ」というと、声が途切れてしまうので、「セツ」と同じ長さになるように手拍子の余韻も「マー」と言ってみましょう。
「訶」も同じように「かー」
これを「まーかー」と伸ばさずに「ブッセツマカッ」と言ってしまうと、手拍子が「パン、パン、パパ、・・・」と不規則なリズムになって、聞く人がこけてしまいます。
お経は、一人だけじゃなく誰と唱えても合わせやすいように、基本、棒読みになっているんでしょうね。
般若心経を2人以上の複数人で唱える時のポイント
複数の人で般若心経をお唱えするときには、頭(とう)と助(じょ)に役割分担します。
「頭」はお経の出だしを1人で代表して唱える係で、「助」は頭以外の人たちです。
出だしのスタートがバラバラになってしまうのを防ぐために、最初の部分だけ代表の一人で唱えて、その続きからみんなが合流して合唱する方法をとります。
この最初の部分のソロパートを唱えることを「頭(とう)をとる」や「頭(とう)を出す」と言います。
頭の人は頭を出し終わると助の人と一緒に声を合わせてお経を唱えていきます。
般若心経を1人で唱える時のポイント
一人のときは、複数人で唱える時と違って、頭も助も自分一人なのでただの読経になります。
息継ぎするとお経が止まるので、息を吸い終わったら次の文字から読んでいきます。
般若心経の息継ぎはどこでする?
知らない人には意外かもしれませんが、般若心経の息継ぎの場所は特に決まっていません。では、どこで息継ぎするのかというと、自分の息が苦しくなったときに息継ぎしてください。
複数人でお経をお唱えするときのために、あえて息継ぎの場所を決めていないのです。
もしも、息継ぎの場所が決まっていると、複数の人で般若心経をお唱えしたときに息継ぎの場所になったら全員が声を出すのを止めてしまいますよね。そうするとお経が途切れ途切れになってしまいます。
とはいっても、お経を覚えたての頃は自信が無いので、他の人が止まると自分もつられて止まったりしますけどね。でも、それは仕方が無いです。そのうちに慣れてきて、つられなくなってきます。
もう一つ、こんな疑問あるんじゃないでしょうか。
般若心経の本を見ると、途中に「。(まる)」や「、(てん)」が付いているけど、ここで息継ぎじゃないの?
たしかに、般若心経の本を見ると、句読点や文字間にスペースが空いていたりする本があります。
実は、この区切りの印は漢文で読んだときの一文の区切りで、お経として唱える時の息継ぎの区切りとは違うんです。
ですから、自分のペースで息つぎをしたり、つばを飲み込んだり、咳をしたり、のどが痛いのでこっそり休んだり、自由にして構わないのです。
お経は耳で唱える
もうひとつ、みんなでお経をお唱えするために、このような事も言われます。
「一人でお唱えするときは口で唱え、みんなでお唱えするときは耳で唱えなさい」
それはこの記事の一番上に貼っているYouTubeの動画を見てもらうと分かります。2人で般若心経を唱えていますが、息継ぎは各自で違う場所になっていませんか?でも、輪唱にならずに合唱になってますよね。
自分が息継ぎしている間に他の人がお経を唱え続けているので、息継ぎが終わって次に自分が声を出すときは、みんなの声を耳で聞いてズレないようにお唱えするのです。そうしないとお経がバラバラになってしまいます。
なので、「お経は耳で(聞いて、口で)唱える」のです。
般若心経の読み癖
基本的に棒読みといっても、伝統的な読み癖があります。
リズムが速くなる場所が2ヶ所と、余韻で長くなる場所が2ヶ所です。
まず、全体的に漢字1文字を2音で唱えるリズムですが、2ヶ所だけ漢字1文字を1音で速くなる部分があります。
- 最後から2行目の「波羅僧」は「はらそー」
- 最後の行の「薩婆訶」は「そわか」
1ヶ所目は、最後から2行目の「波羅僧」のところ。
「はーらーそー」とは言わずに「はらそー」となります。
ここは「は」と「ら」を伸ばさないで「はら」と続けて読みます。
2ヶ所目は、最後の行の「薩婆訶」のところ。
「そーわーかー」とは言わずに「そわかー」となります。
ここは「そ」と「わ」を伸ばさないで「そわ」と続けて読みます。
「ぼー・じー・そわ・かー」が「タン・タン・タタ・タン」です。
次に、伸ばす部分2ヶ所は題名です。
最初の「仏説摩訶波羅蜜多般若心経」と最後の「般若心経」は、「し~~んぎょう~~~」という感じに伸びてます。
この部分は、題名・題目・タイトルなんで、ちょっと余韻を出しています。最後の「し~ぃんぎょ~う~」だけ演歌調になるわけです。
実用的な理由としては、唱える人みんなの「観自在菩薩・・・」の出だしが揃うように「せいのっ!」っていうニュアンスで様子を見てるという意味もあります。
もしも、「しんぎょう」を短くして、、次の「かんじーざい」に進んでしまうとこうなります。
「はーらーみーたーしんぎょう(息する間もなく)かんじーざい」としてしまうと、「はーらーみーたー」がゆっくりだった後に、「しんぎょう」と「かんじー」が急いだ感じになって、みんな油断して声が出遅れてしまう恐れがあります。
みんなで息をそろえて出だしを唱える準備を整える時間をかせぐための知恵なんですね。
なので、一人でお唱えするときは、それほど抑揚を付ける必要はありません。短くても自分お好きな長さでお唱えください。
お経の声の張り方
唱え方のニュアンス・声の張り方も、お坊さんたちはその場に合わせてアレンジしたりもしています。
例えば、お葬式やご供養で唱える時は、おごそかに、静かな声で、優しく諭すような感じで唱えたり。
また、ご祈祷の時はテンションを上げて声高く、お願い事が天まで届くようなイメージで唱えたり。
檀家・信徒の方が般若心経をお唱えする時は、静かな声でお唱えすることが多いと思います。
お経はなぜ棒読みか?
お経は仏様の教えなので、「自分の感情を乗せずに淡々と棒読みがよい」という意見があります。
お経にはいくつか成立の種類があって、お釈迦様が説法をした言葉を弟子が本にまとめたお経というものがあります。
お釈迦様の説法なので、その文章にメロディを付けて読み手の感情を差し挟むことは不要ということです。
また、仏教音楽も数多くありますが、それはお経の本文ではなく偈文を使い、いわゆる賛美歌としての役割になります。
真言宗でよくお唱えする真言は、その音声自体に聖なる意味を持つので口伝えで師匠から弟子へ伝えます。
唱えるときの音程については、師匠の手本をなるべく踏襲しています。
なので、日本で一般的に読まれる漢文訳されたお経は棒読みということなんですね。
般若心経 意味
般若心経の意味は、空の思想と言われます。
いろんな書籍やマンガがあるのでそちらをご覧ください。
NHK 100分de名著 般若心経
真言宗での般若心経の読み方
真言宗は他の宗派と般若心経が違います。
どこが違うかというと、題名と観自在菩薩の読み方です。
題名がこの様に違います。
- 真言宗は「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」
- 他の宗派は「摩訶般若波羅蜜多心経」
仏説が付かないので、「まーかーはんにゃー・・・」で始まります。
もしくは摩訶を短くして「まかはんにゃー・・・」です。
観自在菩薩の読み方も微妙に違います。
- 真言宗は「かんじーざいぼーさー」
- 他の宗派は「かんじーざいぼーさつ」
曹洞宗での般若心経の読み方
「まかはんにゃーはーらーみーたーしんぎょう~↑↑↑~~↓↓↓~~↑↑↑~」みたいな、独特の読み方になります。
1分13秒から始まります。
般若心経の唱え方のまとめ
基本的に漢字1文字が読みの平仮名2つ分のリズムで唱えます。
般若心経の唱え方は、一般的には音程の上下が少なく、漢字1文字を1拍のリズムで淡々と唱えます。
もしあれば、木魚や太鼓や拍子木などでを使うとよいでしょう。
淡々としたリズムを意識するとお唱えしやすいです。





