市販の筆ペン「ぺんてる」vs「呉竹」。初心者が書きやすいのはどっち?
町の文具屋さんやスーパー、ホームセンターの文具コーナーで見かける筆ペンには、「ぺんてる」と「呉竹」があります。
筆書きに慣れない人が般若心経の写経をするときに、どちらの筆ペンが書きやすいのか比べてみました。
結論を言うと、初心者は「くれ竹美文字 完美王 極細」のほうが書きやすいです。
では、それぞれの違いを説明します。
筆ペン「ぺんてる」「呉竹」2強比較
今回、県内の大型ホームセンターの文具コーナーで毛筆タイプの筆ペンを2本買ってきました。
最初、間違って完美王中字を買ってしまって、改めて極細を買い直しました。
お店には並んで売っているので、購入時によく見ないと間違えやすいです。
この時買った中字筆ペンでも書いてみましたが、写経の大きさの文字を書くには線が少し太いです。
写経用で筆ペンを使うには、極細を買ってください。
呉竹の筆ペンは種類が多いのですが、今回は書きやすいと評判だった完美王を買いました。
呉竹には「美文字筆ペン」や「くれ竹万年毛筆写経用」というシリーズもあるので、いつかそちらもレビューしたいと思います。
1、穂先の長さと太さ
筆の毛の部分の長さと太さを比べてみます。
「くれ竹完美王」の方が少し長いですが、太さは「ぺんてる筆」の方が少し太いです。
僅かな違いですが、元が極細タイプなのでこの僅かな違いが書いた線に影響します。
2、線の太さ
書いてみると実感できるのですが、「くれ竹完美王」は毛先から根元までの太さの差が少なく、加えた力の強弱が線の太さに現れづらく、均一な太さになりやすいです。
一方「ぺんてる筆」は毛先が「くれ竹完美王」より細いので、線の入りが細くなりますが、根元が「くれ竹完美王」より太いので、少し力を入れると線が太くなり、線の強弱が付けやすいです。
「くれ竹完美王」は均一な線で書きやすく、「ぺんてる筆」はダイナミックな筆字が書きやすい、といえます。
毛筆に慣れていない人は、手の力加減が安定しないので「くれ竹完美王」の方が適しています。
3、墨色
どちらの筆ペンも墨は水性インクです。墨汁ではありません。
(「ぺんてる筆」には墨液タイプのカートリッジもあります。)
「くれ竹完美王」は、顔料系のインクで、均一にマットなブラックという感じに書き上がります。
顔料系なので、乾いた後は水ににじまない、耐水性があります。
そして、今回購入した「ぺんてる筆」は、染料系のインクで、筆を早く動かした部分は薄めに、筆を止めた部分は濃く書けます。
染料系なので、乾いた後でも濡れるとにじみます。
なお、「ぺんてる筆」には種類がたくさんあって、顔料系インクもありますし、朱墨、薄墨、墨液と、種類があるので利用箇所によって選択できます。
紙の裏抜け(裏側にインクが浸みて見える)は、どちらも抜けますが、染料系「ぺんてる筆」の方がより抜けやすいです。
4、軸の持ち手部分
「ぺんてる筆」は手で持つ軸の部分が弾力があり、押して圧力をかけることで墨が出てきます。
といっても、鉛筆持ちをして書いていれば自然にインクがしみ出てくるので、意識して軸を握りしめるようなことはありません。
逆にインクが染み出やすく、上記の筆先の拡大写真で写っているように、筆の毛と軸の間の部分にインクがしずくになっています。
まだボタ落ちしませんが、その内にキャップ内にインクが溜まってフタを開けたときにインクが落ちるかもしれません。
口コミでも筆ペンのインク漏れについて書かれています。
太い筆のほうがインク漏れやすく、極細はあまり漏れないということです。
気になったら、たまにティッシュで拭いておけばよいと思います。
「くれ竹完美王」は軸が堅い素材で押しても潰れません。
墨の出具合は、インク流量「少」「並」「多」の3種類の軸で変えることができます。
極細タイプには「少」が最適とメーカーページには記載されていますが、販売パッケージは「並」が付属されています。
「並」カートリッジでもインクがボタ落ちすることはありません。
軸の持つところの堅さは好みと慣れの問題なので、どちらがよいかは好みで分かれるでしょう。
ラバーグリップがよい人は、柔らかい「ぺんてる筆」がいいでしょう。
もしくは呉竹の「美文字筆ペン」がラバーグリップなので、そちらもいいかもしれません。
どちらも、筆を横に置いたときの転がり防止の工夫があります。
使いたいときに机の上から転がって移動しているのは、ストレスに感じることもあるでしょう。
「ぺんてる筆」は軸の表面に縦方向にスジのような突起があり、転がらないようになっています。
断面が円でなく歯車状になって転がりを防止しています。
「完美王」はキャップにクリップのような突起が付いていて転がり防止になっています。
はさめるクリップの造りにはなっていないので、実際には挟むことは出来ませんが。
なお、キャップを外した状態で横置きすると転がります。
「ぺんてる筆」はキャップを外して置いて、「完美王」はキャップをはめて置いておくことを前提にしているようです。
5、書きやすさ
「2、線の太さ」でも書きましたが、筆に慣れていない初心者は「くれ竹完美王」の方が書きやすいです。
漢字の画数が多くて細い線で細かく書かないといけない部分では、「ぺんてる筆」のほうが線が太くなって
文字が潰れることがあります。
これは筆圧の力加減がシビアに筆線に反映されるためです。
その点、「くれ竹完美王」は線の強弱がなく、潰れにくいです。
初心者が書きやすい理由はこの点にあります。
逆に、筆使いに慣れている人や、絵手紙などのような線の強弱があった方がいいものには「ぺんてる筆」が適しています。
私は筆の走り具合までは気にしないですが、
筆に慣れている人は、
顔料系インクの「完美王」は筆が紙にひっかかるような感じで、
染料系インクの「ぺんてる筆」はサラサラ書ける感じ
という人もいます。
結局、「ぺんてる」と「呉竹」、初心者が書きやすい筆ペンはどっち?
・毛筆の扱いやすさ
・書いた線の均一性
以上を考えると、
写経初心者が書きやすい筆ペン対決は「くれ竹完美王」の勝ちとします。